教えるということ

isbn:4480082875
著者は国語の先生で,かなりのおばあちゃん(2005年没).どういうきっかけでこの本を手にしたかは忘れてしまったけれども,読む前には,古くさい話が載っているのかなあ,などと思っていた.
しかしながら古い部分もあるにはあるが,かなりの部分が現在でも通用するように感じられた.僕自身は理系のエンジニアであって,後輩に指導らしき事はするものの,いわゆる一般的な「教育」とはほぼ無縁であるところ,言葉の置き換えをいくつか行うだけで,まさに今すぐ役に立つ教訓がいくつも記されているのには驚いた.例えば生徒→同僚・顧客,指導者→技術者・上級職・経営層など.
コーチングがどうこうと取り沙汰されて久しいが,雨後の竹の子のように生まれては消費されて消えてゆくそのようなビジネス書を読むよりも,本書の方がその本質に迫っており,単なるテクニックをたくさん覚えるよりも,その目標とするところが正確に掴めると思った.軸となる思想がなければテクニックをいくら覚えても正しい運用は望めなく,従って成果を上げる事も難しい.